血液がんが起こるメカニズムを明らかにしました。

2011年7月19日

滋賀県立成人病センターの入野保臨床検査部主任技師長、内海貴彦血液腫瘍内科科長および同研究所の木下和生専門研究員らは骨髄増殖性腫瘍という血液のがんで起きている異常を明らかにし、平成23年7月19日米国科学雑誌プロスワンに報告しました。骨髄増殖性腫瘍の診断と治療に応用できる発見であると期待されています。

骨髄増殖性腫瘍は60歳以上の高齢者に比較的多く発症する血液のがんの一種で欧米では人口1万人につき年間1人程度、日本ではそれよりやや低い割合で起こると言われています。赤血球が増える型(多血症)と血小板が増える型(血小板増多症)が含まれています。骨髄増殖性腫瘍ではJAK2という細胞内のタンパク質に変異が頻繁にみつかります。このJAK2の変異がなぜ腫瘍の発症に結びつくのかは不明でしたが、本研究によりJAK2の変異がPU.1というタンパク質を増量させていることが明らかになりました。PU.1は動物実験などから血液腫瘍の原因となることが知られていたので、今回の発見は腫瘍で見つかる遺伝子の異常と腫瘍を引き起こすタンパク質の間を結ぶ研究成果であるといえます。

骨髄増殖性腫瘍

掲載論文

Irino T, Uemura M, Yamane H, Umemura S, Utsumi T, Kakazu N, Shirakawa T, Ito M, Suzuki T, Kinoshita K. JAK2 V617F-dependent upregulation of PU.1 expression in the peripheral blood of myeloproliferative neoplasm patients. PLoS ONE

入野保, 植村宗弘, 山根史嗣, 梅村茂人, 内海貴彦, 嘉数直樹, 白川卓, 伊藤光宏, 鈴木孝世, 木下和生. 骨髄増殖性腫瘍患者末梢血におけるJAK2 V617F変異に依存したPU.1の発現上昇.

リンク

米国科学雑誌プロスワン web site
http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0022148

県政e新聞へのリンク
http://www.pref.shiga.lg.jp/hodo/e-shinbun/nb01/20110720.html